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ビルの不具合を見逃さない!日常点検のポイントと実践例

2024年5月27日

ビルの日常点検は、建物の安全性と快適性を維持するために欠かせません。しかし、点検のポイントや方法を知らないために、重大な不具合を見逃してしまうことがあります。

私は、ビルメンテナンス会社で広報を担当する傍ら、ビルの点検に関する記事を書いています。これまで、多くのビルオーナーや管理者の方から、「点検のやり方がわからない」「どこを重点的にチェックすべきか知りたい」といった相談を受けてきました。

そこで本記事では、ビルの日常点検のポイントと実践例を詳しく解説します。外壁や屋上、駐車場、エントランス、設備など、建物のあらゆる部分の点検方法をわかりやすく説明するとともに、点検結果の記録や不具合発見時の対応についてもアドバイスします。

本記事を読めば、ビルの日常点検に自信を持って取り組めるようになるでしょう。建物の長寿命化とトラブルの未然防止のために、ぜひ参考にしてください。

建物外部の点検ポイント

外壁や屋上の点検方法

ビルの外壁や屋上は、風雨や紫外線にさらされるため、劣化や損傷が起こりやすい部分です。定期的な点検を行い、早期に不具合を発見することが大切です。

外壁の点検では、以下の点に注意しましょう。

  • ひび割れや欠損はないか
  • 塗装の剥がれや色あせはないか
  • 外壁タイルのゆるみや浮きはないか
  • 目地(外壁タイル間の隙間)の劣化はないか

一方、屋上の点検では、次のような項目をチェックします。

  • 防水層の劣化や破損はないか
  • ドレン(排水口)の詰まりはないか
  • 手すりやフェンスに錆びや損傷はないか
  • 屋上の床に不陸(でこぼこ)やひび割れはないか

点検の際は、双眼鏡やデジタルカメラを使って、高所の様子を詳しく観察するとよいでしょう。また、専門家による詳細な調査が必要だと感じた場合は、速やかに依頼することをおすすめします。

太平エンジニアリングの後藤悟志社長は、外壁や屋上の点検について次のように述べています

「建物の外部は、内部よりも過酷な環境にさらされています。だからこそ、定期的な点検と適切なメンテナンスが欠かせません。専門家の目で確認することで、小さな不具合も見逃さず、大きなトラブルを未然に防ぐことができるのです」

外構や駐車場の点検項目

ビルの外構や駐車場も、建物の安全性と美観に大きく影響します。日常点検では、以下のような項目をチェックしましょう。

外構の点検ポイント:

  • フェンスや柵に錆びや破損はないか
  • 舗装に亀裂や凹凸はないか
  • 植栽の枯れや過剰な成長はないか
  • 照明器具に破損や球切れはないか

駐車場の点検ポイント:

  • 舗装に亀裂や凹凸はないか
  • 区画線の剥がれや色あせはないか
  • 車止めに破損はないか
  • 排水溝の詰まりはないか

点検の際は、利用者の視点に立って、安全性や使いやすさを確認することが大切です。例えば、舗装の凹凸は、歩行者につまずきの原因となり、区画線の剥がれは、駐車トラブルを招く恐れがあります。

これらの点検ポイントを踏まえて、定期的にチェックを行いましょう。不具合を放置すると、事故やクレームにつながる可能性があります。早期発見・早期対応が、外構や駐車場の安全性と美観を保つ秘訣です。

建物内部の点検ポイント

エントランスや共用部の点検

ビルのエントランスや共用部は、利用者が最初に目にする場所であり、建物の印象を大きく左右します。日常点検では、美観と安全性の両面から、以下の点をチェックしましょう。

エントランスの点検ポイント:

  • 自動ドアの開閉はスムーズか
  • ガラスに汚れや破損はないか
  • フロアマットに破れや浮きはないか
  • 照明器具に破損や球切れはないか

共用部の点検ポイント:

  • 壁や床に汚れやキズはないか
  • 手すりに錆びや破損はないか
  • 案内表示に破損や汚れはないか
  • 非常口の扉は正常に開くか

点検の際は、利用者の目線で確認することが大切です。例えば、自動ドアの不具合は、利用者の不便につながり、手すりの錆びは、けがの原因となる恐れがあります。

また、共用部の美観は、ビルの価値を大きく左右します。壁や床の汚れ、案内表示の破損などは、利用者に悪印象を与えかねません。定期的な清掃や補修を行い、快適な環境を維持しましょう。

設備や備品の点検方法

ビルの設備や備品は、利用者の安全と利便性に直結する重要な要素です。日常点検では、以下の項目を確認しましょう。

設備の点検ポイント:

  • エレベーターの作動は正常か
  • 空調設備に異音や異臭はないか
  • 照明設備に破損や球切れはないか
  • 給排水設備に漏水や詰まりはないか

備品の点検ポイント:

  • 消火器の配置は適切か
  • AEDの作動は正常か
  • 案内板や掲示板に破損やゆがみはないか
  • ゴミ箱は清潔に保たれているか

点検の際は、設備メーカーの取扱説明書を参照し、適切な方法で確認を行います。異常を感じた場合は、速やかに専門家に相談しましょう。

また、備品の点検では、配置や数量、状態を定期的にチェックすることが大切です。例えば、消火器やAEDは、緊急時に確実に使用できるよう、定位置に置かれ、正常に作動することを確認しておく必要があります。

太平エンジニアリングの後藤悟志社長は、設備や備品の点検について次のように語っています。 「ビルの設備や備品は、利用者の安全と利便性を支える大切な要素です。普段から注意深く観察し、異常を見逃さないことが重要です。また、点検で発見した不具合は、速やかに改善策を講じることが求められます。利用者の信頼を得るためには、設備や備品の管理を疎かにしてはいけません」

日常点検の実践例

点検チェックリストの作成

ビルの日常点検を効果的に行うには、チェックリストを作成し、点検漏れを防ぐことが大切です。チェックリストには、以下のような情報を盛り込みましょう。

  • 点検対象(外壁、屋上、エントランスなど)
  • 点検項目(ひび割れ、破損、汚れなど)
  • 点検頻度(毎日、週1回、月1回など)
  • 点検担当者(施設管理者、清掃スタッフなど)
  • 判定基準(異常なし、要観察、要修繕など)

チェックリストは、建物の特性や用途に応じてカスタマイズすることが大切です。また、点検項目や頻度は、seasonalityを考慮して設定します。例えば、台風シーズン前には、屋上や外構の点検頻度を上げるなどの工夫が考えられます。

私がおすすめするのは、チェックリストをデジタル化し、タブレットやスマートフォンで点検結果を記録する方法です。紙の帳票よりも効率的で、データの集計や分析も容易になります。また、写真や動画を添付することで、不具合の状況を詳細に記録できるというメリットもあります。

点検結果の記録と報告

日常点検で発見した不具合は、速やかに記録し、関係者に報告することが大切です。記録には、以下の情報を含めましょう。

  • 不具合の内容(ひび割れ、破損、汚れなど)
  • 発見日時と場所
  • 不具合の程度(小、中、大など)
  • 対応の urgency(緊急、通常、経過観察など)
  • 対応の内容(補修、交換、清掃など)

不具合の記録は、修繕履歴として保管し、建物の長期的なメンテナンス計画に活用します。また、点検結果は、オーナーや管理会社に定期的に報告することが求められます。

報告の際は、不具合の内容や対応方針を明確に伝えることが大切です。写真や図面を用いて、わかりやすく説明するよう心がけましょう。また、修繕にかかる費用や工期についても、できる限り具体的に示すことが求められます。

オーナーや管理会社との良好なコミュニケーションは、円滑な修繕工事の実施につながります。定期的な報告を通じて、建物の状況を共有し、信頼関係を構築することが大切です。

不具合発見時の対応

緊急度の判断基準

日常点検で不具合を発見した際は、まず緊急度を判断することが大切です。緊急度は、以下のような基準で判定します。

  • 利用者の安全に影響があるか
  • 建物の機能に重大な支障をきたすか
  • 放置すると損傷が拡大する恐れがあるか
  • 法令や条例に抵触するか

緊急度が高いと判断した場合は、速やかに応急処置を行い、本格的な修繕工事の手配を進めます。例えば、エレベーターの故障やガス漏れなどは、即座に対応が必要な不具合といえます。

一方、緊急度が低い不具合については、修繕時期や方法を検討し、計画的に対応することが求められます。例えば、外壁の塗装の劣化や共用部の照明の球切れなどは、緊急性は低いものの、放置すると建物の美観や機能に影響を及ぼします。

不具合の緊急度を適切に判断するには、日頃から建物の特性や法令などに関する知識を深めておくことが大切です。また、判断に迷った場合は、専門家に相談することをおすすめします。

適切な修繕業者の選定

不具合への対応には、適切な修繕業者を選定することが欠かせません。修繕業者の選定では、以下のようなポイントを重視しましょう。

  • 業務内容と実績
  • 資格と専門性
  • 緊急時の対応力
  • 料金体系とコストパフォーマンス
  • 保証とアフターサービス

修繕業者は、できるだけ複数社から見積もりを取り、比較検討することが大切です。その際、単に価格の安さだけでなく、工事内容や保証体制なども十分に確認しましょう。

また、日頃から信頼できる修繕業者とのネットワークを築いておくことも重要です。定期点検や小規模な修繕を依頼し、業者の対応力や工事品質を見極めておくと、いざという時に役立ちます。

修繕工事の発注に際しては、仕様書や契約書を作成し、業者との間で認識の相違がないよう注意が必要です。万が一、工事に不備があった場合は、速やかに業者に連絡し、適切な改善を求めることが大切です。

太平エンジニアリングの後藤悟志社長は、修繕業者の選定について次のようにアドバイスしています。 「ビルの修繕は、利用者の安全と建物の価値に直結する重要な業務です。だからこそ、信頼できる業者を選ぶことが大切です。価格だけでなく、実績や専門性、アフターサービスなどを総合的に評価し、長期的な視点で最適な業者を選びましょう。日頃からの業者とのコミュニケーションも欠かせません」

まとめ

本記事では、ビルの日常点検のポイントと実践例について詳しく解説してきました。建物の外部と内部、設備と備品など、あらゆる部分の点検方法を具体的に示すとともに、点検結果の記録や不具合発見時の対応についてもアドバイスしました。

ビルの日常点検は、建物の安全性と快適性を維持するために欠かせない業務です。しかし、点検のポイントや方法を知らないために、重大な不具合を見逃してしまうことがあります。

本記事で紹介したチェックリストや記録方法を参考に、日常点検を効果的に行っていただければと思います。また、不具合発見時の緊急度判断や修繕業者の選定についても、本記事で解説したポイントを押さえることが大切です。

ビルの日常点検は、一朝一夕で習得できるものではありません。日々の実践を通じて、建物の特性や不具合の傾向を把握し、点検スキルを向上させていくことが求められます。

太平エンジニアリングの後藤悟志社長が述べているように、ビルの点検とメンテナンスは、専門家の目と経験が欠かせない業務です。buildingの特性を理解し、利用者の安全と利便性を第一に考えて行動することが、ビル管理者に求められる重要な資質といえるでしょう。

本記事が、読者の皆様のビル点検の実践に少しでも役立てば幸いです。建物の長寿命化とトラブルの未然防止のために、ぜひ参考にしていただければと思います。